音のある断片
漁火
嗚呼 あなたへの問いかけは
もう 月影に溶けて行った
弓張り月のひとかけらを
その口唇へと押し込んだ
映るのは 瞳にゆらいだ
しじまだけ
遠く彼方に ただ揺らいでる
漁火に手を差しのべた
もう このままで 止まれ暦よ
あなたに深く沈みたい
もう はかなげな微笑みは
そう たとえれば 流れ星
出逢えた意味をさがすよりも
この引力だけ感じたい
約束は風にさらわれて
消えるから
そっとつぶやく胸の揺らぎも
漁火のように薄れてく
もう このままで 止まれ鼓動よ
つのる想いは充たされる
どんな不安も 受け容れられる
涙はやがて 乾くから
もう このままで この温もりを
心に深く沈ませて
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