BACK
       音のない一葉
リズム

キミのちいさなくちびるをかりて
僕の背中は翼をもがれた
触れ合う指のかすかな湿り気を
夜にまぎれて何度も確かめる

朝もやのなか ベッドでためらう
喉の奥には小さな膨らみ
自分の声にとまどいながら
キミの名前をひとりつぶやく

誰もいない部屋のなかで
リズムのくるった身体をもてあますよ
そしてそっと手首を噛んで
にじんだこの血を静かに 涙のように

キミのハチミツ 夢中でおぼれて
もれた悲鳴もよく聞きとれない
街はセイコウを夢みる人たち
愛は路上で捨てられてゆくだけ

傷つきつづけて痛みを忘れた
キミの背中は白くて かなしいね
キミの翼を僕はもぎとる
きれいな空へはばたけ さよなら

夜のせまい部屋のなかで
リズムのくるったこころを慰めあおう?
キミはずっと背中を噛んで
かなしい涙を笑顔でこぼしていた

誰もいない部屋のなかで
リズムは二人の鼓動とかさなりあうよ
キミはずっとシーツを噛んで
子供の泣き声のように 泣いていたね


NEXT
- CLOSE -