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       日本文学選集
蒼き狼

眼帯をした山賊は 錆びた刃をふりかざし
砂煙を空へと巻きあげた
城壁はもうすぐそばで もろい素顔をさらしてる
汗まみれの力で 愛を奪う

もう どこへでも 行ける
全て うつろな光さえ くぐりぬけたら
たてがみを揺らして
荒野はここにもある

さあ おいで おまえの目指す場所へ
だがそれは ここにあるんじゃないさ
ターコイズ色した空の果てで
それこそが かけがいない宝と
気づくとき 気づくときさ

完璧なほど 本当は 壊されやすいものだから
不安なんて 一生つきまとえ
大空を舞う はやぶさが あんなに早い その理由は
向かい風に 案外 あるんだぜ

もう どこへでも 行けよ
みんな 生まれた瞬間に ひとりぼっちだ
咽喉笛を鳴らして
荒野はどこにでもある

最低で 最高な この大地で
進むのは そこにある意志だ
待っていておくれよ 空の果てで
すぐそこに たどりつけなくたって
行くからさ 行けっからさ

沙漠の真ん中で 足元はよじれて
膝はガタがきて 風は熱風で

さあ おいで 汚れたシャツを捨てて
だがそれは 忘れてくんじゃないさ
サンライズかがやく空の下で
それこそが かけがいない宝と
気づくとき 気づくときさ



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