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       犯罪白書
in cold blood

雨が降る
屋根を撃つ雨音のリズム感の無いリズムが心地良く鳴り響く
罪がある
窓ガラスを罪がすべり落ちて行く
窓辺に立つ男の頬を
ガラスに透けた雨の影が流れ落ちている
泣いているのだ
泣いているようだ
何に?
男は自らの課した罪を悔いてはいない
たとえ人を殺めても
頬を伝う涙は
雨の影は
その人のために流されたものではない
謝罪は無意味だ
でもそれが必要ならば謝罪しなくてはならない

in cold blood

流血の先にあるのは何だ
真実へ到達する道は程遠い
道標なんてどこにも売っていない
盲目は腕時計を外して思い切り投げ捨てる
レミング達は集団で自殺を図る
路上で若者たちが衝動を押し売る
部屋の中でひとりひとりがキィボードに欲望を叩き打つ
乾いたカドミウム液がビーカーの底に白く固まっている
放たれた銃弾は左のこめかみを貫いて脳漿をぶちまける
情報は氾濫して拡散し
本能は覚醒して歯止めが利かなくなる
爆音を立てて走る車
もっともっと激しく叩きつけてドラム
もうどうなったって構わない
あなたといられるならば
世界なんて壊れてしまっていい
爆音を立てて走る車
夜の帳を引き裂く声
首筋を切り開く刃物
爆音を立てて走る車

何で犯行に及んだかって?
謝罪は無意味だ
でも
それが必要ならば
謝罪しなくてはならない

敢えて
男は頸を縄にかけて
目隠しをされて
底が抜ける床の上に立って
祈る

誰に?


(暗転)


in cold blood 床は抜け落ちて
身体は停止する



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