犯罪白書
時計塔からずっと
体制は傾斜し
ゆるやかな思想に胸があつくなる
その上昇した熱は空を焼き焦がして
灼熱の陽射しへと転換
頭脳はペースト状になだれこみ
中耳からしたたる
そんな朝に目覚めたのは
砂糖水にとかしたやさしい狂気
勢いつけて一気に嚥下すれば
カーニバルの幕は上がる
「大道具はどこだ?」
「設営係はどこへいった?おい助監督」
舞台監督が狂ったようにわめく
でも助監督は用意されていない
このシナリオにはそんな洒落たものは
なにひとつ
かけあがった時計塔が
例のバベルのように圧倒的にそびえ
地面では狗肉をかじる犬が
今目の前にある物事にテンションあげまくりで
背骨が
捻じ曲がって行く
ずっと見ていた
時計塔からずっと
撃ち抜くのはさして難しいことじゃない
むしろ容易じゃないのは
足元をささえる板が
もう崩れ落ちそうなくらい
どうしようもなくなっているのだ
サンドウィッチは湿気っちまった
コーヒーは冷めちまった
なんてことだ
もうどうにもならねえ
断頭台なんて
赤茶けたまがい物に怯える必要もなく
重要なのは
この引き金の感触
引き金をひとつひくたびに
罪のメダルを1ポイント
勲章じゃないか
ずっと見ていた
時計塔からずっと
世界が滅んで行く様を
ずっと見ていた
時計塔からずっと
自分が崩れて行く様を
見せ付けていた
俺はここに居る のだ
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