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       音のない一葉
Orange

指輪の大きさが ひとつちがうと キミはふくれて
僕はちょっと困る
貝がらのピアスを 揺らしながら 早足になる
それでも 見とれていたよ

私がもし月だったら
あなたは太陽だ、と言った
それぞれ勝手に生きられるけど
それぞれがあれば はじめて輝けるよと

夕暮れの風に包まれて
オレンヂ色に心が鮮やかになるたびに
ケンカしながら過ごした日も
すごく切なく いとおしく キミをずっと抱きしめたい
キミの髪がゆれる ほほえみ こぼれて

歩道橋が揺れる 走るトラックの行き先さえ
僕は知らない
燃えかけのタバコの 白い灰が 風に吹かれて
くずれて はかなく消える

キミがもしいなくなったら
それだけでだめになる
そんな歌の意味に気がついた
季節にさらわれ いつしか大人にかわる

貝がらを胸に人の波のなか
うつむく背中にお互い見向きもせず
キミと歩いた海へつづく道を
飽きるまで行こう まだこの愛は終わらない
「ただいま」とキミが言う やさしいひとみで


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