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毀れた水

さようなら 秋を纏う詩人よ
貴方の吐き出した布状のゼリーは
並べ立てた箱庭の内で幸せの色に似て行く
それは心地がいいものだけれど
きっとそこには居ちゃいけないから
さようなら 華の枯れた希望よ

毀れた水のような感覚で俺は廻る
一定のサイクルを微妙に変えながら
毀れた水のような感触で俺は想う
太陽が哭いている とらわれて ぐるん ぐるん

さようなら 紅の好きな挫折よ
林檎を齧りとり 夕灼けをつまんだ
並べ立てて気がついた嘆き 赤信号と、血も赤
まるでもとから約束したような
苦い痛覚 そして海の味
さようなら きっとここもいられない

毀れた水のような感覚で俺は、跳ねる!
絶望の催促を優しく夢想して
毀れた水のような感情は俺と晴れる
大空を踏んでいる 蹴りあげて くるん くるん
くるん くるん…

ぐるん ぐるん…

さようなら 薄く洩れた唾液よ
貴方で最期だろう 安らぎは果たした
並べ立てた箱庭の内で幸せの色をしている
それは心地がいいものだろうか…

いいものだろうね…



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