植物観察
樹液
おちる
おちる
おちる
樹液が
静かに滴りおちる
ぽたり
ぽたり
と
滴るのは罪悪の裏側にある快感
裏切りと向かい合わせにある感覚
運命を叩き壊すほどの力を持つ
ぬくもりと言う名の樹液
私はおまえからあふれる濃密を吸う
枯れることを知らないその傷口に吸いつく
夜通し月が覗き静けさがあたりをつつんでも
その甘美な食感に舌鼓を打ちながら
にじむ
おまえの呼び水が表面に滲み出ている
あふれる
死の匂いがするその誘惑に対する制御はもはや必要ない
あつまる
それを求めるのは我のみならず ただ求道のままに彷徨い続けている
ぬれる
私の頬はすでに濡れている
おちる
おちる
おちる
おちる
おまえの傷口に
おちて行く
もう止まらないのだ
それはもう どうしようもないのだ
運命の引力が
私を
おまえの樹液へと引き寄せる
おちる
おちる
おちる
おちて行きたい
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