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       人体実験
沈黙の手

失ってしまった科白たちが
さびしそうな目つきで僕を見てる
なのに その中のどれひとつも
つかめぬまま この手 にぎりしめる

相変わらず街は
便利さと 不便さの バランスとりながら
ゆるやかに 傾いて
きらきらの銀貨さがそうとしている

君がいる 抱きしめている
けどそれは ただこの手が 囲んでいるだけ
どうすれば 安らぎにたどりつけるの
だけど手は ひとことも 語りかけることはない

関わってしまった時代たちが
無関係を装って 陰で覗く
君に会うまでに 全てを
残らぬよう 捨てたはずだったのに

何も知らず 君は
裏表ない笑顔 与えてくれるけど
でもそれは でもそれは
何もかも知って 赦してくれるのか

君といる 触れあっている
けどそれは ただこの手が つつんでいるだけ
本当のぬくもりに 気づくためには
あと何度 傷つけて 傷つけば いいのかな

ひとつに集めた いくつもの言葉は
ばらばらに砕けて 元に位置に戻っただけ
誰よりも愛しく 誰よりも厭わしい
誰よりも自分に 近くて遠い人

君がいる 抱きしめている
けどそれは ただこの手が 囲んでいるだけ
どうすれば 安らぎにたどりつけるの
だけど手は ひとことも 語りかけることはない

君に似た 光のかけら
ひとかけら だけでもいい この手にできれば
失ってた 言葉のひとつひとつが
少しずつ この胸に 語りかけはじめるだろう




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