犯罪白書
Calling You
聞こえる
静かな歌声
あなたの
戦場を
駆け抜けてきた
オレンヂ色のひかり
つつみこむ
母のような
やさしさで
ごめんなさい
だいぶ歩いてきたね
まだたどり着けない
私を許してくれますか
まだ
あなたを愛しています
これ以上に近づけないことは
今だって変わらない
二人の間に燦然と刻まれた絶壁は
もうどうしようもないほど
深く 高く なってしまった
もう
駄目なんだね
失われた幾つかの過去を思う
立ち尽くす自分の後ろに
限りなく広がる膨大な時間
静止することなく増え続けてゆく過去の
その中にあるいくつかの
ひとにぎりの
ひとかけらの
やさしくてあまい過去
そのときに
あのときに
やるべきだったことを
私は見落としてしまった
その絶頂に至る首筋を
甘噛みするだけで
おわってしまった
いまでも悔いるのです
いまでも悔やむのです
関係ない音 匂い 空気
そういったことに触れるたびに
関係ないものなのに
思い起こすたびに
胸は張り裂けるのです
許してください
これはひとりの独白です
決して、あなたに届くことのない
告白です
今でも愛しています
愛という言葉が許されるのであれば
それが私にとっての
生きる糧という意味とつながるものであるのならば
それが認められるのであれば
私はあなたを愛しています
と
つぶやくことができる
それだけで
総てが終わる
総てを満たす
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